風立ちぬ
日がぐんぐんと短くなったと思うと、またたく間に年が暮れ、容赦なく新年がやってくる。今年は上海から帰りに爆発的なコロナのなか、陽性にはならないが高熱を出し、咳き込むなどコロナっぽい無気力に襲われた。
上海で昨年の暮れに10年間住んでいたアトリエを引っ越しし、限られた時間内で契約更新やらいろいろと交渉事があり、日本に帰ってきた際にどっと疲れが出たのかと自分では納得できる部分がある。予定表に何も書き込まず、空白になっているようなものだ。
そして、コロナ禍で3年間行けてないインド行きもキャンセルを余儀なくされた。
新疆ウイグル自治区で生まれ育ち、山東で大学生活を過ごした秦風氏は、ニューヨークの長年の遊学や創作活動を経て今は上海に常住している。ヨーロッパやアメリカの美術館で大型展示会をやってきた大きな作品を中心に発表してきた秦氏、彼の名前に因んで風という個展を東京で初めて開催しようと思ったが、頭の中でなぜか松田聖子の風立ちぬのメロデイーが鳴り続けるので、これを題にした。ジブリーの映画でも有名だが、作家さんの名前にもなっているように、風のように、自由で、鷹揚で、何も気にしない、くる者もの拒まず、去る者は追わずの感性が作品の中で現れている。
――Shun